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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)2121号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中一二〇日を本刑に算入する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人並びに弁護人上山義昭の各上告趣意は末尾に添えた書面記載のとおりである。

被告人の上告趣意について。

所論は刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。

弁護人上山義昭の上告趣意について。

所論の点はいずれも、原審において控訴趣意として主張されなかった事項であり、また刑訴三九二条二項は同条項所定の事由に関し控訴審に職権調査の義務を課したものではないから、原判決はこれらの点についてなんら判断を示していないのである。従ってこのような事項につき、単純に原判決の法令違反を主張することはもちろん、これを判例違反として主張するのであっても、このような主張は、刑訴四〇五条の定める適法な上告理由にあたるものということはできない。

また、本件について同法四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条、刑法二一条に従い主文のとおり決定する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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